こころをかたちに vol.4-2 食べる・寛ぐ・寝る

「こんな暮らしをしたい」という思いは、どのようにインフィルに反映されるのでしょうか?
そんな様子を、あるコーポラティブハウスにお住まいの皆さんから、実際の空間に照らし合わせながら語っていただきました。
皆さんの住まいづくりのご参考になれば幸いです。

食べる・寛ぐ・寝る


  • 奥にあるのが寝室。「食事」「寛ぐ」「寝る」の流れを止めないように、壁のコーナーはアールで優しく施工。


  • 東側には細長いスリット窓。天窓も。季節によって、様々な光が入り込む。


  • 壁の珪藻土や間接照明が柔らかさを表現。ペンダント照明は、シリカ電球で、紫の光。


  • 寝室に入りこむ光。冬場はたくさん入り込み、お布団はぽかぽかに。


  • 寝室の光を調整できるように、障子が仕込まれている。寝るときは閉めて天窓の光を遮る。


きっかけ


Bさんご夫妻。リビングでは笑顔がこぼれる。

Q:このプロジェクトに参加されたきっかけは?

A:妻がもともと建築業界に勤めていて、家づくりにも興味がありました。アーキネットの古くからの会員でした。良さそうな計画をみつけては、何度も私に伝えていました。前のマンションは、見晴しはいいが建売感で×。ちょうど御留山の募集が始まったころは、彼女は仕事で三か月ロンドンにいたときでしたが、WEBで間取りとかいろいろ見て住まい方に合いそうだというイメージが持てました。場所もそれぞれの実家に近くて良かったです。

Q:決めるまではいかがでしたか?

A:彼女は海外で見に行けないので、一人で見に行きました。現地や街を見て写真を撮って、ネットで彼女に連絡しました。静かでいい。最初は希望の住戸には先約がありましたが、別の住戸に移られて空いたという連絡をもらって、縁があると思いました。彼女は会員として長いですが、今回はピンと来るものがあったようでした。

プラン

Q:決め手は?

A:プランが一番です。大型マンションのような長い短冊プランは×。この計画ではメゾネットで配置がコの字型ですごく目新しかった。各住戸のプランもユニークで、メゾネットが気に入りました。以前のマンションはフラットで、階段のある家が憧れでした。上下で分かれた場所があるのが魅力で、それでいてちゃんとつながりがあるのが良かったです。マルセイユのユニテも実際に見に行って気に入っていました。上下別ですが、ゆるやかにつながっていたのが良かった。周囲の家と違って、家の向きが道に正対して南西に向いているため、周りの家が斜めに見えて遠近感や広がり感があります。

Q:戸建てとの違いは?

A:コーポラティブには住戸の組み立て方に面白さがあって、一戸建てでは限界があります。敷地のとり方もコーポラティブハウスならでは。となり近所との間柄も、いい意味で親密です。プライベートは守りつつ、子どもの顔も分かって会話もできる。

Q:建築家については?

A:川辺さんのすっきりしたデザインを気に入りました。作風をみて、ツンツンとしていない印象でした。寛ぐ、休む、という家なので緊張感はなくてもいい、素材感や柔らかさがあるつくりが良かったです。どのプランも面白かった。


コーポラティブ方式

Q:コーポラティブ方式についてはいかがでしたか?

A:つくるプロセスに関われることに、メリットが想像以上にありました。ヘルメットをかぶって工事現場を確認したが、そんなおりに将来隣人になるみんなと会えるのが楽しかった。いまでも何かあったときは集まれる。引っ越す頃には、みんなは知り合いで安心感がありました。

Q:インフィルを一緒につくっていくプロセスはいかがでしたか?

A:設計・施工で非常にいい仲間に恵まれました。押し付けられることはなく、アイデアをぶつけ合って、混ぜていく。普通は工務店が中立的な立場ではない。『高い』『間に合わない』『良くない』とアイデアも消される。いろいろな相談を(中立的な)プロデューサーに投げかけられて、精神的に心強かったです。建てている途中の一年、またロンドン勤務で彼女にはつらかった。日本から(仕様決めや寸法合わせのための)報告書を、都度作成して送りました。課題がうまく整理できて達成感がありました。


方針

Q:住まいづくりの基本方針は?

A:ボリュームがあって使い方が自由、ということでした。夫婦二人で子供はいない、仕事もしている。家では、『食べる』『寛ぐ』『寝る』の三つが繰り返されますが、それらの間を仕切らずにずるずると移り変わるように。光の入り方が決まっていたので、そこから三つの場所を決めていった。お互い二人で好きなことを好きな場所でやっていても、空気感が伝わってくるように。
年取っていくことが楽しくなるように。マンションのときは『ここで死にたくないなあ』と妻は言っていました。
日当たりや明るさ感を大事にしようと思いました。照明もおさまりを大事にして、設計担当の方に図面を書いてきてもらって、ときには妻が原寸の図面を書いていました。(他の組合員に比べて)いち早く高齢者になるので、調光などで居心地良さも大事にしました。夜、目が覚めないように光が明るすぎない、それでいて足元に不安なくトイレに行ける、水も飲める、といったように。
素材感、手触りが大事。自分で床、壁の材料を手触り感のいいものから選びました。ざらざら、がりがりせず、堅すぎないで、あたりの優しい材料をひとつひとつ選びました。木のフローリングに愛着があり、床材はメイプル、きめの細かい材料です。夏は裸足ですが、あたりが優しく気持ちがいいです。木目もあまりはっきりしないように。壁は、珪藻土。夏、風の通りや湿度が少しでも快適になるようにと思っていました。音の反射も柔らかくなります。前のマンションは最上階で暑かったですが、今度は外断熱で屋上も断熱して、暑くない。家が坂の途中にあるため上からも下からも風が来ます。冬は床暖房でエアコンはほとんど使いません。体感が全然違うのが分かりました。裸足の生活が気持ちよくて、家じゅうべたべた歩いています。
ドアノブや蛇口などはスムーズに動いていてほしい。それらも一つずつ捜し歩いて決めていきました。
一つ一つに愛着がわきます。二人でしょっちゅう掃除をしていますが、掃除が苦ではないです。


キッチン

Q:スペースがありますね。

A:二人で立つことがあるので、立つスペースを広くとって、ぶつからないようにしました。私達には一緒にいる時間が貴重なんです。(マイケル・グレイブスの)ケトルは、ピーター・ズントーの見学に行ったときに買ってきました。

Q:収納などは?

A:前から使っていた家具(食器棚)はそのまま持ってきて、寸法を合わせました。吊戸棚も食器でいっぱいです。季節物や来客用の食器は上の方。骨董も好きで、友人に陶芸家がいて個展で小物を買って、目で楽しむ、目で味わう。気に入ったものが少しずつ増えていきます。

食卓

Q:ペンダントがいい雰囲気ですね。

A:スポットライトはあまり好みではなかった。演出的で、暮らしの中では別の方がいい。もっと柔らかい、まわってくる光で、食べ物がおいしく見えるように。電球はシリカ電球で、シェードに当たると紫色になります。蛍光灯だと紫の波長がなく、LEDでは下方だけ明るくなるので駄目だった。シリカ電球が生産中止になってしまって今後は良いランプを捜さないと。


リビング


階段室。天窓からの光と書斎上部の景色がつながる。

Q:リビングのつくり方は?

A:仕切っていないので閉塞感がないのがいいです。 光がいろいろな方向から入ってくるので季節感があります。光の角度、時間が全然違います。東からの光を感じたい、ということで壁に穴をあけてガラスブロックのスリットにしました。教会建築のスリットがイメージです。入ってくる光、見える景色が非常に美しい。冬至の頃は、スリットから入る光が向こうの壁に当たって幻想的で感激しました。
コーナーにはアールをつけています、良く通る場所なので。施工が大変だった様ですが、角が丸いので光がグラデーションになり、優しい感じになりました。


洗面所


こだわって探したグースネックの洗面器具。

Q:鏡の上は緑がいっぱいですね。

A:隣の家に感謝です。緑がたくさん。朝は、鳥の声で目覚めます。洗面所の高窓から眺められて、すごく緑が身近に感じられます。

Q:使いやすそうです。

A:グースネックにこだわりました。キッチン用より小ぶりで、やっと見つけたのですが高かった。でも毎日動かすところなので動きがなめらかでないと。水の出方も空気を入れて出すので飛び散らないのがいいです。
鏡で顔が良く見えるように、調光と上下左右から光が回ってくるようにしています。


寝室

Q:寝室のつくり方は?

A:寝るだけの部屋ではなく、寛ぐ場所として考えています。年を取ると寝転んで過ごすことが増えますので、居場所のひとつとして大事です。
障子を出し入れしますが、寝ているときは閉め、起きているときは開けています。手で開け閉めする普通の方式ですが、雰囲気の変化が楽しくて毎日開け閉めしています。元々は日本家屋の素材も好き、吉村順三が好き、と川辺さんにも話をしていました。障子から光がちょっと漏れてくるのもいいです。朝の光を遮るために内側に板戸もあります。カーテンは葉っぱの柄で、葉の形の光と影を楽しんでいます
シングルベッドを二つ並べるスペースをとっています。彼女の個人的な持ち物はベッドの脇の収納にあり、大事な居場所になっています。最初のプランでは今の寝室の場所はキッチンに充てられていましたが、昼間、横になっていても楽しめる場所なので寝室になりました。お昼寝するとき、冬なんかは布団がポカポカしていて気持ちがいいです。


暮らしてみて


書斎でも緑の借景。

洗面室でも緑の借景。

Q:実際にお暮しになってみていかがですか?

A:坂道は毎日の鍛錬。慣れてきました。高田馬場は、川沿いに学校や呑み屋街などがあり人間臭い。目白方面は、高級・上品で落ち着いている。雰囲気の違いが楽しめます。
やっぱり光の移ろい。季節の変化を実感できます。いろいろ頼んでおいてよかった。写真を撮るのが趣味で、いい光が入ってくると写真を撮っています。四方向から光が入る豊かさは代えがたいです。川辺さんの設計では、高い位置に開口があって、空が良く見えます。坂の上の緑が良く見えます。洗面所の高窓からは緑だけが見えます。朝晩の光の変化を感じます。
上下階の湿度感、温度感が違い、下の階は夏でもかなり涼しい。逆に冬は上の階で太陽の暖かさが有り難いです。
今年はウグイスが来ました。御留山公園からでしょうか。住んでいる人たちも自然が好きで共感できます。タヌキも暮らしていて、坂の上を上がってきて、専用庭の扉の下から入って通り抜けています。この街では誰も通報はしません、共存しています。


コミュニティ

Q:ご近所づきあいはいかがですか?

A:お隣のお子さんが大きくなっていくのが楽しみです。ご近所の空気感が中庭を通して感じられます。誰かが出てくるのが分かります。一緒になると『○○ちゃん、小学校行ったなあ』『○○ちゃん、大泣きしていたね』『女の子なので自転車のヘルメットをかぶるのが嫌なのかなあ』とちょっとした会話になります。ベビーカーの上げ下ろしを手伝ったり、朝の出がけに挨拶をしたり。
近すぎず遠すぎず、一緒に設計を進めて時間をかけながら、お互いのほどよい距離感が分かってきました。みんなで頑張ってきたという連帯感もあるので、親近感もあります。竣工間際に近所から工事音のクレームがあってみんなで説明に行ったのですが、結果的に連帯感ができました。何かあった時は、皆で一体になれる、という信頼感が醸成されました。



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